沙弥校(しゃみこう)
お山では、毎年7月26日から8月1日(今年は、木曜日から翌週の水曜日)までの7日間、沙弥校(しゃみこう)が行われます。
参加資格は、本宗師僧の許可を得た、小学校4年生から中学校3年生の健康な男子となっています。
場所は、池上本門寺、大堂下大広間などで行われます。
さて、沙弥校の「沙弥」とは、サンスクリット語の音写で、出家はしたが,まだ具足戒を受けず,出家修行者である比丘になる以前の少年の意のことです。
しかし、皆で苦楽を日々共にして励まし合ううちに沙弥としての自覚が生まれ、取り組めるようになります。
沙弥校の1週間は、三宝給仕を生活の規範とします。
朝夕の勤行、一々文々での読経練習、法要儀式の心得えや作法、写経や唱題行などに明け暮れます。
真夏の暑さの中(そこに、自由に使えるエアコンはありません)、慣れない道服:白衣での生活や正座のつらさに戸惑うこともあるようです。
昨年は、池上安立院・院主である生駒惠幸上人から、昭和20年の本門寺空襲のお話がありました。
生駒上人は、参加している沙弥校生と変わらない年齢の頃に空襲体験をお持ちです。
当時の本門寺の惨状や戦争体験、復興までの道のりを真摯に語られました。
戦争を知らない、もしくは、現代においての美化された戦争というものやゲームの中での戦争しか知らない少年たちの心に、生駒上人の体験、記憶は、将来僧侶としての道を歩むことになる上で貴重な財(たから)になっただろうと思われます。
最終日は、菅野日彰貫首を導師に、沙弥校生が式衆を務め、修了式としての法要が行われました。
身体はまだまだ、子供である少年たちの真剣さが伝わってきました。
参列した師僧や親族も心を打たれた、学び多い1週間を確認できたようです。
幼少期から集団の中で修行すると、修行そのものが自然と身に付きます。
記憶力が優れている時期であるので多くの物事が素直に覚えることができます。
それに加えて、知識欲が盛んな時期に教えを学ぶという施しをすることで、大きな成果があげられる利点もあるでしょう。
沙弥校に学ぶ少年たちは、日蓮聖人に選ばれた子たちなのかもしれません。