菊花展

池上本門寺の菊花展が始まると、「秋が来たな」と思うのは、私だけでしょうか。

池上の町が、菊の上品な香りで包まれてしまうようです。

短期間のお祭りではなく、約1か月の期間のある菊花展ですから、出店やイベントなどの特に賑やかなことはほぼないです。

特に平日は、静かに、菊の花を愛でるという意味合いを持ちます。

菊人形ともまた違い、「菊の花」単体での良さをじっくり見せるものでもあります。

たとえば、

〇大菊:花の直径は20cm前後、一枝に対して一輪だけ残して周りのつぼみは摘蕾してあります。

〇厚物:多数の花弁が中心に向かってこんもりと盛り上がったものです。花弁が起伏がなく整然と並んだものが良いとされて
います。

〇厚走り:厚物の花弁の下に長い花弁が走るように垂れ下がったもの。

〇太管:花弁が管状になり、直線的に放射状にのびています。外側の花弁はしだれて先が丸まっています(玉巻と言います)。管弁の太さで太管、細管、針管に分類されます。

〇ダルマ仕立て
1・「三本仕立て」の小さいもので、鉢は7号鉢。
2・「天」の高さを60~65cm以下に収めるのが条件。
3・矮化剤(植物の成長を抑制する薬)を使用します。

〇懸崖づくり:懸崖用の小菊を、前年秋のさし芽したものを、摘心を繰り返し、形を作っていきます。かまぼこ状に隙間なく花をつけるのには技術が必要です。大きいものから60cmほどの小さなものもあります。

〇クッションマム:いわゆる洋菊で、鉢植えで秋ごろに出回ります。「矮化剤」で成長が抑制され、背丈がそろえられています。

などなどの種類が並んでおり、一つの展覧会でもありますから「受賞」した菊も並べられております~審査員の方は毎年審査に苦労するようです。

さて。

菊の花びらの数は、実は奇数なのです。

この由来には諸説ありますが、まず自分が1と考えます。

親が加わって3、祖父母が加わって7、曾祖父母が加わって15…という順にさかのぼっていくと、奇数にしかなりません。

つまり、仏教の世界において、自分を構成している先祖の数と同じと言えましょう。

菊の花は、主な仏花として多用されていますが、元々は野菊として雪が降る直前まで場所を選ばずに丈夫に咲いていました。

だからこそ、仏さまに届けたい香りであり花だったと考えられます。

特に仏さまが、菊が好きだからという由来は出てこないので、子孫である我々が、花びらの数も相まって、お供えしたものと考えられます。

菊花展の会場には、即売所もあり、低価格できれいな菊を購入することができます。

お土産と思い出によいかもしれません。



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