荼毘(だび)
「荼毘に付す」という言葉があります。
この「荼毘」という意味は、火葬するという意味が由来しているといわれています。
日本で最初に荼毘に付された人は、飛鳥時代の法相宗の僧であった道昭である、といい伝えられています。
天皇で最初に火葬されたのは、持統天皇です
最新の研究では、それよりも以前に既に火葬が行われていたという可能性もあるようです。
それは、古墳の形式の1つにかまど塚や横穴式木芯粘土室といわれるものがあり、それらに火葬が行われた痕跡があると認められているのです。
さて現代は、ほとんどの御遺体は火葬されます。
日本は、事実上無宗教の人が多く、埋葬の方法にこだわりをもっていません。
火葬が最も一般的であり、社会においても無難なものとして受け入れられています。
また、都市部には人口が集中していることから、土葬で埋葬するための土地を確保することができないという理由から火葬が多いともいわれているようです。
日本の法律では、死後24時間以内に火葬してはいけないと言われています。
これは、墓地、埋葬などに関する法律(墓埋法 ぼまいほう)第3条に定められています。
ただし、伝染病予防法では、この限りではありません。
また、墓埋法の第5条では火葬を行う場合には、死亡届を受理した市町村長の許可が必要と定められています。
尚、許可を受けずに火葬してしまった場合、墓地、埋葬などに関する法律で法律違反となり、刑法190条「死体遺棄・死体損壊罪」に問われる可能性があります。
現代の日本では、土葬するところをほとんど見かけません。
土葬や火葬以外の方法が禁じられているわけではありません。
未だに山間部などで、土葬をしている地域も実際にあります。
しかし、行政としては、環境衛生面で火葬を推進しています。
東京都や大阪府では、条例で土葬を禁止している地域もあります。
ここで、出棺や火葬に関する知っておきたいマナーを紹介します。
火葬場には、位牌と遺影を持参します。
地方によっては、香盆、生花、供物などを持っていく習慣もあります。
また、火葬の間の控え室で、同行者にふるまう茶菓子やお酒などは喪主が持参します。
荼毘に付された後、火葬場の係員の指示に従い、参列者全員が炉前へ参集します
炉中から、係員の手によって骨と骨灰を机上に引き出します。
そして参列者が二人一組になって丁寧に一つづつ、骨を箸で拾い上げて骨壷に収めていくのです。
骨を入れる順序は足から収めていき、最後に、喪主によって喉仏を拾い、骨壷の一番上におき収納します。
因みに、分骨をしたい場合は事前に葬儀業者などへ遺族として分骨の意向を申し出ておけば、分骨用の骨壷や骨袋を用意してもらえます。
全てを終え、火葬場から帰る際は、遺族と共に遺骨、位牌、遺影を1台の車に乗せて帰路につくのです。