『精進うめ』~秋の池上梅園へ
『池上本門寺 花峰』では、紀州南高梅をはちみつで漬け込んだ梅干し『精進うめ』の販売を開始いたしました。
梅干しと言いますと、どうしても食事の際に食べるような酸味や塩辛さのイメージが先になりがちです。
しかし、この「精進うめ」は、まろやかな甘みが口いっぱいに広がるので、お茶うけに最適かと思われます。
100g:600円、350g:1500円、二つのサイズを用意しております。
お山詣出のお土産にいかがでしょうか。
さて。
今の季節になぜ「梅干し」なの?と思われた方。
実は今の季節からが今年の梅干しの始まりなのです。
6月の梅雨時に収穫された梅は、ただ塩だけで生漬けされます。
この生漬けの際に上がった水=酢水は、梅と塩の成分のみでできており、昔から腹痛の民間薬とされてきました。
つまり梅干しを漬けない家には、この酢水=薬はないわけで、とても貴重なものとされております。
そして、西日本:南高梅の採れるところでは、梅そのままの色で。
また、東日本:東北の方では、あく抜きした赤しそを、七夕の頃を目安に追加し、梅干しに色を付けます。
そして、三日三晩の土用干し(今年のような酷暑では、土用ならいつでもいいかと思われますが、基本は八月上旬ころ)をします。
大きな笊に梅を一つ一つ乗せ、乾かし、朝、昼、晩と揉む。
そしてまた漬け込みます~これは、100人の女性がいれば、100種類以上の漬け方干し方があって、全部正解です。
梅の干された笊のことを、梅筏(うめいかだ)と呼びます。
夏の間つけられた梅は、それから「いい塩梅」になって、食卓に今年の梅干しが上ります。
それが、新米の季節である秋なのです。
酸っぱい梅もいいですが、甘い梅もおいしいですよ。
梅の酸味とハチミツは、誠に絶妙なコラボレーションです。
そして。
本門寺の西側には『池上梅園』があります。
高低差を利用した梅園や茶室も配置された一つの公園でもあります。
秋に梅の実はないだろう、もちろん花もないだろう、と思われることでしょう。
でも「梅紅葉」があるのです。
ご存知の通り梅の木は落葉樹ですから紅葉します。
ただ、日々観察していないと色つきの変化がほとんどわからない、不思議な紅葉の仕方をし、また、すぐに散ってしまうのです。
だからこそ、見る価値のある、秋の樹木とも言えます。
少し暖かい日、梅の木の下に茣蓙を引いて、温かいお茶と「精進うめ」で紅葉見物を、ぜひ。