お線香「清澄 香樹林」
今回ご紹介させていただくお線香は玉初堂さんの「清澄 香樹林」です。
火がついた瞬間、香りが部屋中に広がります。
そのまま強く広がり続ければ、ちょっとお部屋が息苦しくなりますが、決してそうはならず、そのあとは、静かにゆっくり香りが染み渡るように作られているのです。
甘く清らかな香りです。
現在からおよそ1000年前、平安の世の中では、貴族を中心にお香の文化が栄えました。
調香に工夫を凝らした自分独自のお香を創り、それを持ち寄って優劣を競う『馨物合わせ』の会が盛んに催されていたようです。
その後、安土桃山時代から江戸時代初期に中国から朝鮮半島を経由してお線香の製造技術が伝来します。
そして、お香の調香法を取り入れたお線香『匂い線香』が日本で初めて誕生するわけです。
わが国では仏様にお線香をあげる文化は、まだまだ400年あまりの習慣なのです。
たぶん最初は庶民にその習慣はなく、高貴な人たちの『余興的なご供養』として始まったのだと思います。
だから、今でも、とてもお安いお線香に香りがほんの少しで煙だけがものすごいものがあるのだと思います。
それでも、庶民にしたら、香りを仏様に届けますという真摯な気持ちの現れだったのだと思います。
香樹林には、いくつかの種類があります。
黒箱は墨をすった香りがします。
その中でエメラルドグリーン箱の『清澄 香樹林』は白檀を主体としたお線香です。
白檀はインド南部のマイソール州(現カルナタカ州)で産出する貴重な香木です。
その主成分のサンタロールには、雑菌を押さえたり、気分を清潔にする効果があると言われています。
現代では香水や化粧品、お香、お線香に広く使われる代表的な香りなのです。
そう、香樹林が1本とぼれて、部屋の隅々まで香りが行き渡った時には、お部屋に風を通してお掃除をしたあのさっぱり感がします。
これも白檀の香りの力なのでしょう。
本当に静かに、静かに香りがただよっているのです。
気持ちもリラックスしてきます。
これは一つの提案ですが、朝にあげるのではなく、お昼間、おやつ前の一時間に1本あげてはいかがでしょう。
夕方までの一休みの時間に軽くリラックスして、またがんばる活力がでると思います。
ぜひともお試しいただきたい一品です。