シリーズ~お墓は誰が継ぐ? その1

※画像はイメージです

2019年も無事にお彼岸が過ぎ、巷では専ら改元の話題でもちきりであります。

どのような元号となるかは、4月1日の正午には明らかにされるとのことですので、静かに見守りたいと思います。

さて今回は、あらためて「お墓の継承」について考えてまいりたいと思います。

少子高齢化が加速する現代、生涯未婚率も出生率も発表のたびに下がっています。

人々の「死」に関する意識も、葬儀の多様化など、ここ数年で確実に変化してきています。

そして、お墓の問題についても、家族の数、人の数だけあると思います。

とても、それを語り切ることはできません。

みなさまのお宅のお墓は、誰がお継ぎになるか、お決まりでしょうか。

本稿では今後、実例も踏まえつつ毎月いろいろなケースを考え、シリーズとして情報掲載していきたいと思っています。

お墓のあつかいについては、宗派ごとに微妙に違いますが、例えば、内縁関係状態の世間で言う配偶者は同じお墓には入れません(無宗派の民営の墓苑や霊園ならば可能かもしれませんが、先祖代々では不可ですね)。

なんとなく、親族の中で「じゃあ、うちは後継ぎがいないから、私が死んだらお願いね」という「娑婆」の者同士の口約束でも継げません。

なぜなら、継ぐ人だけが持つ承認の印が、菩提寺から授けられていないからです。

私の知り合いに、東北出身のAさんという方がおられます。

Aさんの菩提寺では、お墓を継いだ時に、仏壇に置いておく過去帳が与えられるそうです。

その過去帳に、今後継承していく者の名前が書かれ、菩提寺の印が押され、はじめて認められた、ということになるのだそうです。

Aさんのご家庭は、戦後の新戸籍法によって、本家から出た家なので、Aさんの祖父が初代にあたる方です。

本来なら、どこかの家が引っ越しかなにかで空いたお墓を再使用する流れです。

が、Aさんの祖父が亡くなった時にたまたま、お寺の隣にあったお花畑が売りに出され、幸運にも新規の墓地にお墓を建てることができました。

戦前に亡くなって本家のお墓に合葬されていたAさんの父の妹のお骨はもう土に還っていたので、本家の納骨堂の中の土をご先祖様と一緒に分けてもらって、Aさんの家の新墓に納めました。

ある時、Aさんの父が亡くなり、Aさんがお墓を継ぎました。

ただ問題は、これからです。

Aさんの家は弟が亡くなっているので、女子はAさん一人だけです。

Aさんの本家も三姉妹。

Aさんの真ん中の姉妹はお嫁に出ましたが、長女も三女も未婚で子無しです。

それで本家の伯父上も、頭を抱えているそうです。

少子化の現代で、叔母の子ども、Aさんからみた従兄弟の子を、墓守りだけで養子にもらうわけにはいきません。

こうした迫り来る現実を痛切に感じたのは、東日本大震災の時だそうです。

実はAさんは震災被災者ですが、平時はお墓があるとしか思いませんが、あの時のお墓の中の惨事を目にすると(幸い、Aさんの家も本家も飛び散るなどの被害はありませんでした)、これから、お墓はどうしていけばいいのだろうと思うのは当たり前です。

おそらく、後継ぎとして最後になるAさんと本家の長女三女は、「墓じまい」を自分たちが生きているうちに済ませなければなりません。

本家の家督、Aさん一族の家督である伯父には考えがあるようで「私の言うことに倣ってほしい」と申していたそうです。

Aさんとしては、そうするつもりとのことでした。

おそらくは、一族揃って菩提寺の有縁無縁墓に、先祖代々揃って合葬してもらうことになるそうです。

「土に還りながら、一族が揃うのも案外と楽しいかもしれない」と、そのようにAさんはおっしゃっていました。