乾杯と献杯

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お酒の席で必ず行われる「乾杯!」は、正式なパーティーから、結婚式、忘年会、飲み会の席等で開会の宣言のように行われます。

一般的にとても浸透している習慣ですが、日本で乾杯の音頭をとるようになったのは、実は最近のことです。

最近といっても江戸時代のことになりますが・・・。

日英和親条約を協約した後、晩餐をすることになった井上清直が、イギリスのエルギン伯に祖国イギリスでは、国王の健康を祝して、杯を交わす習慣があると言われた井上清直が、日本ではその様な習慣がないので、言葉につまっていたところ、場がしらけそうになったので、おもむろに立ち上がり、大きな声で「乾杯!」と叫んだ・・・と言われています。

これが日本で初めて行われた乾杯だそうです。

こんな逸話でも分かる様に日本では乾杯の習慣はありませんでした。

しかし日本ではお神酒が神様への供物の一つでしたので、元服祝いや結婚式の三三九度のかための杯など、重要な儀式では杯をくみかわしてきました。

現在の明るく陽気な乾杯とは格式の違うものでした。

一方で、葬儀で行われる「献杯」は亡くなった人を供養する儀式として行われます。

ですので西洋から来た乾杯とは全く性質の異なるものです。

もともと日本にあった神聖な儀式に近いものだと考えてください。

元来、仏教の考え方では献杯の観念そのものがないようですが、近年葬儀の精進落としなどの食前のタイミングで献杯を行うことが一般的となってきましたので覚えておいても良いかもしれません。

その際は、乾杯のようにグラスを合わせたり大きな声を出すことがないように注意しましょう。