仏教離れ
これまでは日本での葬儀と言えば、仏教葬が最も多く、つい最近までは仏教葬の割合は95パーセントだといわれていました。
他のキリスト教などの宗教葬を加えれば、98パーセントが宗教葬を行っていました。
しかし2007年の調査の結果で、遂に仏教葬は九割を切りました。
これは今まで日本が体験したことがない数字で、関係者を驚かせました。
そして、これとは正反対に増加している葬儀様式があります。
それは無宗教葬です。
無宗教葬の割合は、3.4パーセントにのぼり過去最高となりました。
都市部では無宗教葬の割合が、7.8パーセントを超えています。
特に都市部での増加傾向が顕著な様です。
この数値を聞いて意外に少ないじゃないかと思われる方もいらしゃるかもしれません。
しかし、普段あまり信仰のない人でも“人の死”に遭遇したときぐらいは、宗教葬で葬儀を行いたいと思うのが今までの常識でした。
よって、この数字は驚きを持って受け止められたのです。
では、無宗教葬の増加の背景には何があるのでしょうか。
要因のひとつとして考えられるのは、寺檀関係が希薄になってきていることです。
首都圏では、半数近くの人が菩提寺を持っていません。
ですから、葬儀を行う時点で僧侶を紹介してもらわなければなりません。
大抵の葬儀業者は、きちんとした僧侶を紹介してくれますが、悪質なケースが時々世の中を騒がせていることも事実です。
しかしその結果、僧侶を効率よく派遣するために、派遣僧侶と呼ばれるような商業システム化が進み、僧侶が葬儀専門のプロダクションに所属するという、何とも奇妙な時代になりました。
かくして人々の宗教感覚は益々薄れることとなり、僧侶を招くことは単に儀式のオプションの1つとして認識されるようになりました。
挙句は宗教葬自体、その必要性の可否を疑問視されるようになってしまいました。
しかし地方では、まだまだ宗教葬が優勢のようです。
ただし、今後においても全国的に見れば無宗教葬の増加傾向は収まることはないのではと思われます。