喪服

関東は、梅雨まっさかりでじめじめとした天候が続いております。

次に来るのは暑い夏だとわかっていても、この湿気も本当に嫌なもので、早いところ明けて欲しいと思う今日この頃です。

さて、これまでにも何度か喪服について書いて参りましたが、あらためて喪服について少し書いてみたいと思います。

今の時代、嫁入り道具に嫁入り先の紋が入った喪服を持って行っても、自分で着られない限りタンスの肥やしになります。

喪服もだんだん簡素化して、参列者に至っては和服ではなく洋装がほとんどです。

では、葬儀をあげているお宅、喪家の女性はどうでしょう。

おそらく自前の喪服を持っているにかかわらず、それが急な葬儀にしても、準備の時間があった葬儀にしても、和箪笥から出して着られるように掛けておく、というような暇はないと思われます。

しかるに、美容院や貸衣装屋さんの、一般的な紋(家紋)ではないものをぎこちなく着ています。

初めて袖を通す喪服には、仕付け糸が縫い付けられています。

忙しい中でも、前日までに取っておいた方がいいでしょう。

また、ちょっと仕付け糸に似たような大きめの縫い目は「ぐし躾」ですので、それは抜かないようにしましょう。

葬儀参列が終わった時に、自前の喪服なら喪服を仕舞う前にやることがあります。

それは、次に着る時の支度です。

あまり縁起のいいものではありませんが、用意しておいて不備はありません。

着物屋さん(染物屋さん)に都度お持ちになって、汚れなどを確認して「畳紙(たとう紙)」にしまっていただきましょう。

先日テレビで、さる女優の方がおっしゃってました。

お母様がなくなられたとき、喪服を探したら、襦袢の半襟まで着けて用意されていたとのこと。

お母様は、娘が次に紋の入った喪服を着るのは自分の時だと準備していてくださったらしいのです。

それを聞いた時、何ときちんとしている御母堂なのだろうと思いました。

そして以前、祖母から聞いたこんな話をふと思い出しました。

「きちんとしている方は、自分の「死装束」を自分で縫って、箪笥の引き出しにちゃんと仕舞ってあったりするものだよ」。

これからは喪服も簡素化、洋装化は進むことでしょう。

でも、自分の大切な人の葬儀の時は、家紋入りの自前の喪服で送りたいものだなあと、ふと思いました。