数珠
今回は、あらためて数珠のお話を記してみたいと思います。
法事や葬儀参列、そして日々お仏壇に向かう時、私たちの手にあるのは、数珠です。
昨今では、数珠のことを念珠ともいい、ブレスレット型の数珠も老若男女に問わず手首によく見られます。
数珠は、仏教に向かい合う時、また自己を守る上でかかせないものという認識は、昔から途切れる事なく続いている仏具です。
元々は、僧侶がお題目やお念仏を唱えた数を数えるために用いられたので『数(かず)珠(たま)』と書かれたとも言われます。
数珠の球数はおおよそ108個となっています。
これは、煩悩の数から来ているとのこと。
しかし、日蓮宗の数珠は、大きな珠(親珠)2個、小さな珠(四天珠)4個、普通の珠108個。
合計114個の珠からなっています。
そして、すべての数珠の珠ごとに意味がある(数珠曼荼羅)あると説かれています。
大きな珠(親珠)のうち、右の親珠を浄名珠といい『釈迦牟尼仏』、左の親珠は数珠を留めるところから、緒留ともいい『多宝如来』をあらわしています。
小さい珠は四天珠といい、上行、無辺行、浄行、安立行、の四菩薩をあらわしています。
また、左側にある3本の子珠の形の違うもの(10個の子珠)が独特の「数取り」と呼ばれるものです。
数珠の持ち方は、数珠の輪を8の字に捻り、両手の中指に掛けます。
そして、右手に二本の房、左手に三本房が来るように持ちます。
通常はこのまま合掌します。
お経本を持つときは数珠を二重にして房を下にし、左手に持ちます(古くから、左手は不浄の手と呼ばれていますから)。
そして、数珠をすり合わせて音を出すのはやめましょう。
合掌は手のひらを隙間なく合わせる事です。
両手を合わせて他に何も出来ないことを示し、一心に祈る礼拝の姿であるので、音を出す作業ではないのです。
さて、池上本門寺 花峰では、日蓮宗だけでなく、他宗派の数珠も取り揃えております。
店の者に聞いていただければ、正しい数珠の持ち方などをお教えさせていただいております。
身近なものですから、正しく持っていただきたいと思っております。
なお、私の知人の亡くなられた祖母様は、地方で数珠を作る仕事をされておりました。
その祖母様は、信心深い御方で仏様を敬いながら一つ一つ丁寧に珠をつないでおられました。
こうした作り手の信心の思いも、数珠には込められているのでは、と思います。