新茶を仏さまに

そろそろ皆様のお宅にも、新茶が行き渡る頃でしょうか。

新茶とは、毎年5月上旬(八十八夜)から6月に摘み取られたばかりの新芽から作られる、できたてホヤホヤの緑茶をさします。

新茶とは、お米の「新米」と同じ、旬の初物です。

新米がそうであるように、新茶もその時期にしか出せない味と香りがありますよ。

因みに、お米の場合、新米を樅のままで保存していて、お米を精米してたらいつも新米味という人がいますが、樅のままでもお米は劣化します。

新茶という表現には、二種類あって、この本当に新芽の頃の新茶と、もう一つは茶道で言うところの初夏に摘み取った新茶をカメで寝かせて、エグミが抜けた秋に「口切の茶会」で出されるお茶も新茶と言います。

今日書いているのは、新芽の方の、新茶です。

お仏壇のあるお宅では、まず新茶は、生きている私たちが飲むのではなく、一服目はお仏壇の仏さまにあげて、残りをいただいていると思います。

毎回のように書いておりますが、仏さまの食べ物は香りや湯気です。

新茶をあげてもらった仏さまは、その瑞瑞しい香りと湯気を楽しんでいると思います。

しかし、新茶のおいしい淹れ方ご存知ですか?。

まず、茶葉を10gくらい多めに急須に入れます。

そこにそそぐお湯ですが、湯気がばんばん立つような熱々ではだめなんです。

70~80℃までヤカンごと冷ますか、茶こぼしかお湯呑に移して湯冷ましします。

それを急須に注いで、時間にして40秒程度抽出して、軽く2~3回回します(これによって、茶葉が開き、味がしっかりと出ます)。

少しずつ、湯呑に均等に注ぎ分けて、最後の一滴まで絞り切ります。

また、最近流行しているお茶の淹れ方としては、底面が広く平な急須に、15gほど贅沢に茶葉を入れ、氷を入れて溶けるまで置きます。

甘みが立つといいますか、今までのお茶とは全く違う味がします。

でも、これだと、仏様には、新茶をあげましたという気持ちだけしか届きませんね。

新茶は、渋みや苦みが少なく、逆に旨味が多いため、若葉のような爽やかな香りがします。

爽やかな香りほどよい渋みを楽しみたい場合は、熱めのお湯で大丈夫です。

湯気が出るぎりぎりの70℃程度で淹れると、旨味の多い味になります。

お寺も緑がきれいな季節です。

月命日でなくても、新茶を持って、墓前へ出向いて、その場で適温でお茶を淹れて、仏様ご先祖様と飲む新茶っていうのも、いいかもしれませんね。