日蓮宗の文字曼荼羅
暑い日が続いておりますので、皆様くれぐれも御身体をご自愛下さい。
さて、本日は先日に引き続きまして、お曼荼羅について改めて記してみたいと思います。
仏壇の中心にある「文字だけの掛け軸」は、日蓮宗では必ずと言っていいほど『文字曼荼羅』が鎮座しています。
この『文字曼荼羅』は、日蓮宗の信者の方が仏壇をご購入した後に、菩提寺から僧侶を呼んで「魂入れ」を行う開眼法要の儀式の時に頂きます。
お曼荼羅は、祖師像(通常、御祖様→「おそっさま」と呼んでいます)と共に大切なものとされています。
『文字曼荼羅』は、日蓮上人が曼荼羅の世界を初めて文字だけで表したもので、1271年に最初に書かれてから現存している物は128組あるとされています。
現在、日蓮宗の仏壇に掛けられているのは、弘安三年(1280年)臨滅度時(一般人では臨終の意味)のものです。
初期の文字曼荼羅は中永八年10月9日(通称・楊枝本尊)に書かれたもので、現在と異なり、とても簡素なものでした。
その後、文字や梵字を組み合わせ、色々と試行錯誤のうえ現在に伝わっている文字曼荼羅になった、とされています。
この文字曼荼羅には、どんな事が書かれているのか、中央に「南無妙法蓮華経」の周りに持国天や広目天など37以上の仏様漢字や梵字を使っての名前が書かれ、下に日蓮上人の花押(かおう→現代の印証のようなもの)があるのが一般的です。
日蓮上人を形どった祖師像の後ろに鎮座する、文字のみで表現された曼荼羅。
文字とはいえど、曼荼羅独特の宇宙が表されている、その先には一言では語りつくせない仏教という教えの全てが、この曼荼羅に詰まっていると思うと、とても不思議な気分になります。