桐の花は高貴な花?
桐は初夏に花をつけます。
薄紫色の円錐形の花を同時にたわわにつける様な形で咲きます。
花はちょうどリンドウのような感じの花と言えばわかりやすいでしょうか。
桐は樹高が10メートル近くありますので、木を見上げないと花を見つけることはできません。
ですので桐に花が咲くことを知ると、ちょっと意外だなと思う方も多くいるのではないでしょうか。
しかし、桐は古代から神聖な木として大切にされてきました。ですので桐の花も家紋として使われるなど、昔の人にとっては身近な花のひとつでした。
また桐は古代においては、鳳凰の止まる唯一の木として神聖視されていました。
日本でも嵯峨天皇の頃から天皇の衣類の刺繍や染め抜きにも使用されたことが知られています。
桐紋は、有名な「菊の御紋」に次ぐ高貴な紋章とされていました。
天皇家のみならず武家にとっても、この家紋はのどから手がでるほどに欲しいもののひとつでした。
足利尊氏や豊臣秀吉などもこれを天皇から賜っています。
五七桐は「政権担当者の紋章」であり、天下人の証でもありました。
現代においても、五七桐は「日本国政府の紋章」として利用されています。
大礼服や勲章(桐花章、旭日章、瑞宝章)にも取り入れられています。
そんな事を知った上で桐を見上げてみると、なんだか得をしたような気分になりませんか?
高貴な意味がたくさん込められ、古くから日本人に愛されてきた桐ですが、この木は生命力が強く、突然エアコンの室外機の下から芽を出している風景などに出会うことができる身近なものでもあります。
最初は大きな草が生えてきたとおもいきや桐だったという話をたまに耳にもします。
散歩途中などに、今頃に薄紫の円錐の花を咲かせている大きな草があれば、それは間違いなく桐の“木”です。
いつしか10メートルにも達する木が、ちょこんと軒下に顔をだす風景はなんとも面白く感じられます。
しかも不死の鳥“鳳凰”の唯一の止まり木だというから、面白さは倍となるような感じでもあります。
ぜひそんな桐の木を探してみて下さい。