泣き女
泣き女という職業はご存知でしょうか。
その名の通り、「泣く」ことが役割となる仕事のことです。
え?職業?泣くことが?とびっくりされる方もいるかもしれませんね。
主に中国や韓国などのアジアで見られる職業です。
遺族は、泣き女を葬儀の参列するように雇い、弔問客の前で泣く。
人が泣いているのを見ると、連られて涙が出る人、またより悲しい気持ちになる人も少なくないでしょう。
泣き女は、弔問客の中に入り率先して泣くことで、皆が泣くことの手助けをしてくれるのです。
どうしてこのような職業があるのかということですが、儒教には葬儀の際に参列者が泣いていればいるほど、故人の生前での徳が高い表れとする考えがあります。
しかし、悲しみと涙の量は必ずしも比例するものではありません。
弔問客の涙の量=故人の徳を増やすことが泣き女の役割ということです。
泣き女は、おおげさに泣くほど良いと言われています。
妙な話ですが、人気の泣き女というものも存在し口コミなどで広まり場合によっては高収入になることもあるそうです。
中国や韓国以外には、他にイギリスやエジプトなどにも似たような職業は存在しています。
日本では、感情を表に出さないことが美徳であるという考えが少なからずありますので、葬儀の際でも悲しみを抑える方もいます。
そういった国民性から泣き女というものはあまり馴染みのないものですが、葬儀に限らなければ、飲食店に並ぶサクラであったりコンサートに参加するサクラだったりと、似たような役割のものは我が国でも割と身近に存在します。
ですから国が変われば、葬儀に対する考え方や様式も変わります。
国を知る上で、どんな葬儀文化がその国に根付いているのか、という入り口から入るのも面白いかもしれません。