箸渡し(はしわたし)
箸渡し(はしわたし)は、家族や親族の葬儀に参列したことがある方でしたら経験したことはあるかと思います。
火葬場の担当の職員の指示に従ってなんとなく行ってしまっている方も多いかと思いますが、箸渡しとは遺骨を骨壷に入れる際に箸でつまんで順番に渡していくことを言います。
地方によっては、拾い箸(ひろいばし)とも呼ばれるそうです。
なぜ、箸を使い収骨するのか。
故人があの世に渡る際には三途の川があり、川を渡るときに通る「橋」と箸渡しの「箸」が同じ音であることから、亡くなった人に無事に三途の川を渡って欲しいという願いから箸を使うようになりました。
地域によって違いはありますが故人と関係の深かった方の代表2名でまずは骨上げをし、順々に渡しで行く方法が一般的です。
また本来は、亡くなった人の死という災いを一人に負わせることを避けるために2名で行うという意味でしたが、実際に箸渡しを行う家族の心情としては、故人を失った悲しみを箸渡しをすることで皆で分かち合うといった意味合いが強いのではないでしょうか。
箸渡しをするときには、拾い上げた遺骨を通して故人を偲ぶ気持ちをひしひしと感じることかと思います。
幼少のころなど箸から箸へ食べ物を渡してはいけない、と注意された経験があるのではないでしょうか。
一見、問題のないように思えますが収骨の際の骨上げを連想させるために、マナー違反とされていますので気をつけましょう。
他の人に食べ物を渡す時には、受け皿に一度移してから渡すのが常識とされています。
通夜や葬儀は、そうそう何度も経験するものではないので、意味も分からず行っている習慣や作法はあるかと思いますが、ひとつひとつに故人への願いが込められているものなのです。