臨床宗教教養講座

※呑川にかかる鯉のぼり 2019年5月

 

清くなごやかな響きのする令和という時代が、いよいよはじまりましたね。

今年の呑川の水面に映し出される鯉のぼりが、とても美しく思えました。

新時代が子供たちの未来にとって、幸福の時代となるよう願ってやみません。

さて、突然ですが、みなさんは、臨床宗教師という存在をご存知でしょうか。

臨床宗教師とは、被災地や地域社会、あるいは医療機関や福祉施設などの公共空間で、心のケアを提供する宗教者である、とされています。

臨床宗教師は、一般的な宗教者とは少し異なり、布教や伝道を目的としていません。

高度な倫理に支えられ、相手の価値観を尊重しながら、宗教者としての経験をいかして、苦悩や悲嘆を抱える方々に寄り添う宗教者である、とされています。

また、仏教、キリスト教、神道など、さまざまな信仰を持つ宗教者が協力しています。

本稿でご紹介させていただくのは、スピリチュアルケア、グリーフケア(大事な人が亡くなった時に寄り添うもの)、死生学、臨床宗教師について、実践的な視点から学ぶ東北大学の教養講座です。

現代の日本では、超高齢化社会、多死社会に直面し、医療福祉分野においては、「死の不安」への対応が不可欠となっています。

また、東日本大震災による悲嘆者への対応についての関心が、一層の高まりを見せています。

東北大学実践宗教学寄付講座では、公共空間で心のケアを提供する宗教者「臨床宗教師」を育成されてきました。

既存宗教師との連携を進めるためにも、宗教者のみならず様々な立場から地域包括ケアを支えるためにも、臨床宗教師やその実践に関わる知識を共有し、様々な分野での臨床応用に役立てられます。

講座では、宗教学、宗教心理学、死生学、実践宗教学、宗教人類学、応用死生学など、多岐にわたる学問を学びます(年に2回、2日づつのスクーリングもあります)。

こういった表現が正しいかどうかはわかりませんが、臨床宗教師は死刑囚に向かい合う「教誨師」の存在に似ているようにも思えます。

病気の時、死期がもう近くに見えている時に、家族でも友達でも知り合いでもなく、死について語り合うことができる人がいれば、急病などの理不尽な死にも対応できるかもしれません。

残された家族も悔いることで自分を痛めつけることはないかと思います。

今年度はもうスタートしているようです。

今年の秋から2020年度の募集予定だそうです。

学ばれる方々は、かなりの論文を書かなければならないので、今から準備を始めてプレ勉強をお勧めします。

定員は20名(今年は、応募者100名を超え、5倍超の確立)で、費用は、10万円ほど掛かるようです。

これからの時代、私たちの社会で多くの輩出を期待されている人材のひとつが、この臨床宗教師なのかなと思えてなりません。