葬儀小規模化は薄れる宗教観の表れ
今話題になっていることの一つに、葬儀の急激な小規模化というのがあります。
急激にというのは、本当に急速に小規模化し、ここ数年は、その勢いが顕著になってきています。
高齢化の進む日本で、葬儀が小規模化しているのはなぜでしょうか。
まず葬儀の小規模化とは、どんなことかと言いますと、低価格化し、会葬者が減少していること、があげられます。
その理由の一つは、人々の宗教観の変化です。
お葬式の大切な役割の一つとして、遺族の心を慰める、ということがあります。
しかし、宗教感覚が薄れるにつれ、現代ではその意味さえも失われつつあるように感じられます。
かつては、死者をきちんと〝あの世〟へ送り出すのが、遺族に残された死者にできる現世での大切な仕事でした。
その大切な仕事を成し遂げることで、死者は〝成仏〟し、遺族は悲しみを和らげることができたのです。
しかし、〝あの世〟が信じられない現代人にとって「宗教儀式の一つである葬儀そのもの」に意味を見いだせなくなってしまったのかも知れません。
悲しみを癒すことの代役としてグリーフケアなどが注目されるのも、宗教感覚の薄れによるものなのではないでしょうか。
宗教感覚の変化以外にも、葬儀が小規模化する理由がいくつか考えられます。
その一つに核家族化が進んだことがあげられます。
故人の葬儀を行う家族そのものの人数が少ないのです。
他にも、ご近所付き合いの薄れ、高齢化による人間関係の変化、わざわざ葬儀に足を運べない、などが考えられると思います。