道祖神

※画像はイメージです

さて明日、3月21日はお中日です。

天気予報によれば、残念ながらあまり天候は芳しくなさそうですが、ぜひ皆様お墓参りに行きましょう。

そんなお彼岸中の今回は、道祖神についてふれてみたいと思います。

山道を歩いていたり、田舎道を歩いていたり、あるいは都会の道であっても道の角に、上の画像のような小さな石碑や石像がお祀りされているのを見たことはないでしょうか。

よく見てみると、仏さまに近い表情だったり、お地蔵さんに似てたり、男女一対の姿が描かれていたり。

御仏像と同じで、似たようなものはいくつもあるけれど、どれ一つとして同じものはありません。

これらは、路傍の神様と呼ばれています。

いわゆる昔の村の光景を思い浮かべてもらえば、集落の境や村の中心、村と村との境界、道の辻や三叉路にあるといったイメージでしょうか。

人々は、村の守り神として、また、子孫繁栄や旅・交通安全の神として手を合わせていました。

道祖神や道陸神(どうろくじん)、賽の神・障の神・幸の神(さいのかみ、さえのかみ)、タムケノカミなどと呼ばれています。

地方によっては、村が消滅(市町村合併の意味)する機会に、すべての道祖神を一つに集め、神社として祀り、お祭りを行っているところもあります。

前述しましたが、道祖神には、子孫繁栄の意味があります。

しかし、子孫繁栄は、男女が出会わない限り生まれないことの一つです。

ですから、男女一対、あるいは、男性と一目でわかる形や女性とわかる形の石も、各地で存在しているわけです。

そこに「道祖神」信仰があるわけです。

出会いたいと思えば手を合わす。

結婚の際に感謝のために、新しい道祖神を奉納する。

また、浮気など夫婦間での問題の時も、御馳走をあげて手を合わせます。

もちろん、子どもに早く恵まれたい場合は、いくつかの道祖神をかけもちで拝んで歩きます。

石ではなく、御神木と呼ばれる木で、男性器を模して作られた道祖神もあります。

これが、夫婦和合、子孫繁栄に、かなり用いられていたようです。

時期が来れば、そのご神体を、輿に乗せて村々を回って歩きもしました。

その名残ともいえる地方行事は、いまでも全国各地で多数見られます。

これまで私たち日本人は、身の回りのあらゆるものに八百万(やおよろず)の神がいると信じ、生きて来た人種です。

石や木の微妙な形にさえ、神仏が居て自分の願いを聞き届けてくれる。

その信心。

道端の小さな石碑にも縁結びの御利益はあるのではないかな、と思えてなりません。