鬼子母神
池上鬼子母神堂は、池上本門寺境内にある、厳定院の別院に建立されています。
お聖人様が守護神として尊崇した神々の中でも有名なのが、鬼子母神と十羅刹女です。
十羅刹女という10人の大鬼神はあらゆる世界の一切の鬼神の母であり、またその十羅刹女の母親というのが、鬼子母神なのです。
ともに、三千世界の人々の寿命を奪う悪鬼でしたが、改心して「法華経」の守護神となり、大活躍をしています。
女神であることから、ともに安産や子育て、子授けなどの祈祷が多いものですが、日蓮宗の鬼子母神には独自のものが多いのです。
それは「鬼形鬼子母神」という憤怒の姿をした形像です。
この鬼形像は破邪調伏の修法に用いられています。
この修法の様々な行儀が確立される中で、「き(鬼のてっぺんの点がない)」の字による呪字や九字祈祷法なども確立されていったのです。
「法華経」の陀羅尼品には、十羅刹女、鬼子母神とその子、並びに眷属が仏の前に来て、「法華経」を護持するものを守護するという請願を立てています。
「世尊よ、私たちもまた「法華経」を読誦し、受持する者を守り、その患いを取り去ります。
もし、受持者に危害を加えようとするものがいれば、その者は亜梨樹木の枝のように砕けてしまうでしょう」、そう述べたのです。
鬼子母神伝説では、人の子供をさらっては食べていた女鬼が、最後に食べたのは自分の子であり、それを悲しみ苦しんだことで、神に昇華したと言い伝えられてもいますが、日蓮宗では日蓮宗のとらえ方があるのです。