あの世からバスでやってくる
関東では梅雨真っ盛りで、いましばらくは鬱陶しい時期が続きます。
ましてや、ブラジルW杯では残念な結果となり、ますます気分は滅入ります。
しかし梅雨があける頃、そろそろ東京はお盆の季節の到来です。
この、お盆の時期ですが地域によって様々です。
そして、お盆の準備や、お迎えの仕方も地域によって、その作法は全くと言っていいほど異なります。
よくお盆のお迎えは「早く」送りは「遅く」などと言います。
しかし、これも地方によって異なります。
個人的な話となってしまい恐縮なのですが、先日いろいろな地方の方と一同に会する機会があり、何となくお盆の話となったのですが、お盆の迎え方、送り方が千差万別なので、一同でとても話が盛り上がりました。
中でもユニークなお盆の迎え方だったのが、関東のある地方のお盆の迎え方でした。
それは、13日の夕方に、火の付いていないろうそくを立てた家紋入りの提灯を持ってお墓に行き、お水をあげ、お線香を上げ、一通りお墓参りの作法を済ませた後に、その場で提灯にろうそくに灯を燈します。
そして、それが消えないようにそっと家路を急ぐのだそうです。
その時に提灯を持っていない家族が、御先祖様をおんぶするような格好をして一緒に帰宅します。
お墓から持ち帰ったろうそくを、そのまま盆棚に移します。
そして、お盆明け16日の夕方に、提灯に火を入れてお墓に行きます。
お墓では提灯のろうそくを墓石に立てて来ます。
お盆の間は、目に見えないお客様に3食のお膳を用意するそうです。
これに、迎え火や送り火をセットにしたバージョンの話や、お墓ではなく近所の道端の草むらにご先祖様をお迎えに行くというお話もあり、とても話が盛り上がりました。
この何もない道端の草むらにお迎えに行くと話してくれた方の話では、近所中がその“何もない場所”にお迎えに来るそうです。
そこに「あの世からのバスがとまるバス停があるのかな?」などという話になり、何となく不思議な雰囲気に包まれつつ、しかし心温まるお話を聞けました。
まだまだ地方には、御先祖様を供養するための工夫をこらした儀式や慣習があると知り、改めて驚いた次第です。