戒名の“水子”の意味
水子というと、水子供養や、水子地蔵尊等という発想になりますが、本来水子というのは、戒名の下に付けられる信士、信女と同じ位号の一つです。
ただし戒名での呼び名は“ミズコ”ではなく“スイジ”と読みます。
この“スイジ”は、死産した胎児に付けられる位号であると同時に、乳児でも産まれて間もないうちに亡くなってしまった場合にも付けられてきました。
時代をさかのぼると、乳児死亡の場合に付けられることが多かったようです。
それが時代と共に、初期の中絶が騒がれたり、ニュースになったりしたことで、水子の意味合いが胎児死亡の場合に使用されることが多くなったようです。
そのため水子供養というと水子地蔵を購入して供養するといったイメージが広がりました。
この水子地蔵は、埼玉県のあるお寺が水子地蔵を販売したことからブームになったと言われています。
ではなぜ“地蔵”なのかというと、お地蔵様は元々子供の守り神として一般にも知られているからです。
江戸時代には、小さな子供の死にたいする儀式として「地蔵講」などが行われてきました。
これらの儀式を牽引してきたのは主に女性達だと言われています。
女性にとって何よりも辛く悲しいこと・・・それは小さい我が子の死であり、流産によって失ったもっと小さな我が子の死です。
また我が子のみならず、他の女性の子供の死すら、自分の傷みとして感じる力があった昔の女性ならではの儀式なのでしょう。
どんな理由があるにせよ、小さな命を失う深い悲しみは女性にしかわからないことなのかも知れません。