お山のお菓子
池上本門寺では、ご来客の方に、お茶だけではなく、長い間『お山のお菓子』という、おもてなしのお菓子を出しておられます。
あれ、ここは、山ではないのにどうして「お山(おやま)」なの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
一般的には、お寺は昔、お山にあることが多く、◎◎山△△寺と呼ばれる事が多いのです。
例えば、池上本門寺の正式名称は、長栄山大国院本門寺というように、長栄山、やはりお山なのです。
たぶん、長く栄えるという願いが込められている名前なのではないかと個人的には思っています。
また、この池上地域においても、所縁のある方々が本門寺のことを「お山(おやま)」と、畏敬と親しみを込めて呼ぶ際の呼称とされております。
さて。
『お山のお菓子』です。
上質の小麦粉を、油や水は一切使わず、全卵だけで練り上げ、砂糖で味を整えた生地。これを高温の銅板で焼き上げます。
それから、柔らかく炊き上げた最高級の小豆餡を二枚の皮ではさみ、心癒す優しい味わいのお菓子に仕上げました。
表面の白い粉は、風味を増すための小麦粉です。
薄皮なので、さくっとした口当たり、広がる豊かな香りの餡の舌ざわり。
けっして甘すぎず、ちょうどいい甘さ。
和菓子のいいところを全部備えた一品です。
元々、お寺へのお墓参りというのは、一族みんなでお弁当をもって詣って、本堂の縁側で、ご本尊様に見守られながら、『遠足』状態で食事をしたものです。
その時に年長者から、お詣りの手順や作法、仏に対する心などを聞かせてもらい、お勉強したものです。
お寺は決して手の届かない場所ではなく、一番身近なコミュニティの場だったのです。
その場にご住職がまざってくださることもあるでしょうし、在りし日の故人をみんなで忍んだりもしたでしょう。
そんなとき、お弁当だけでなく、やはりお菓子もあったほうが、より楽しく、そして、ほんの少しだけ、豊かな気持ちになれることでしょう。
『お山のお菓子』は、甘さがほどよいので、男性の方にもきっと気に入っていただけると思います。
ご所望の際は、当本門寺 花峰の店頭にて、常時販売しております。
本門寺詣でのお土産のひとつとしてもよろしいのではないでしょうか。
自信をもってお勧めできるお菓子です。