お線香「特撰 花琳」
今回、ご紹介させていただくお線香は薫寿堂さんの「特撰 花琳」です。
箱を開けると、束でたくさんお花を置いた香りがします。
そして、次に、お花の長さを揃えるのに花鋏を入れた時のちょっと儚い香りが立ちます。
火を点けると、控えめでやさしい香りが、静かに静かに続いていきます。
決して人の前に我先に出ようとしない、控えめな香りです。
そして、とぼれるとき、新鮮な花束の瑞々しく芳しい瞬間が訪れるのです。
天然の香木に、極めて稀少な白檀を加えて秘めたる華やかさに仕上げられています。
あまく、たおやかな香りです。
この上品な和の香りは、さる昔の王朝さながらの極上の時間とも言えます。
これは、和の香り成分にだけに視線を向けているのではなく、フランス製香水などを調合して創られている新たな視点があるからです。
現代感覚も溢れていると言っていいでしょうか。
『新しい古典派』と、製造元の薫寿堂さんでは自負しているとのこと。
源氏物語には、『そらだきのいとけぶたう薫りて 衣の音なひ いと華やかにふるまいなして…』という一文があります。
『花琳』シリーズのお線香は、この一文を心根に持ってつくられています。
かの昔の人々がどのように香りを楽しみ、香りを愛おしいと思い、その気持ちをどう仏様に捧げていたのか。
想像しただけで、現代に生きる私たちの生活にも取り入れるべき所作が生まれてくるのではないでしょうか。
庭から切り取ってきたばかりのまだ水滴のついた花を目に浮かべてください。
あの花の茎の香りをもう一度頭に浮かべてください。
あれほど芳しい瑞々しい花の香りは他にありません。
仏様のために、仏様のためだけに、このお花を捧げます。
そんな気持ちがそこにあります。
そして、そこには、人々の笑顔があります。
仏様の笑顔があります。
約25分ほどの歴史の旅です。
映像でしか見た事のない歴史の時代への旅です。
そこに生花がなくても、生花を感じられる歴史への旅です。
この「特撰 花琳」は、朝にだけでなく、夜に1日がんばった自分へのご褒美に焚いていただいてもリラックスできる1本であると思わせてくれるお線香です。