湯灌(ゆかん) その1

人が亡くなると、葬儀の前に納棺の儀式を行います。

昨今では、直葬のように儀式を行わずに、そのまま火葬場へ直行する場合も珍しくはありません。

しかし納棺は、ほぼ必ずと言っていいほど行われます。

その納棺の前に、遺体を洗い清める湯灌(ゆかん)という儀式を行うことがあります。

湯灌(ゆかん)の持つ意味は、生まれた時に赤ちゃんが産湯につかる様に、来世で新しくうまれかわってほしいという意味合いが込められています。

ですので、湯灌(ゆかん)をすることによって今生の穢れを洗い清め、また苦しみを洗い清めます。

湯灌(ゆかん)は本来、宗教的儀式のものだと言われていますが、だんだんと家族が行う儀式へと移行し、現在では、医者や葬儀社にそれが引き継がれていきました。

湯灌(ゆかん)は、最初に末期の水を含ませます。

その次に、髪と体を洗います。

最後に身支度を整えて納棺の儀式となります。

湯灌(ゆかん)時に男性の場合はひげをそり、女性は死に化粧を施してもらいます。

昔ながらの湯灌(ゆかん)の作法は、逆さ水といって最初に水を桶にくんでおき、湯をかけながら洗い流します。

近頃の主流はシャワーですが、病院の多くはアルコールで体をふくだけですませる方法をとっています。

湯灌(ゆかん)で心配されることの一つに、亡くなった後でも裸を見せたくないという場合があることです。

しかし、それは湯灌(ゆかん)に携わるスタッフは、肌を露出させることなく行ってくれるので安心してお任せして大丈夫です。

一昔前までは、湯灌(ゆかん)も納棺も家族が行うものでしたが、今では葬儀業者や病院関係者が行ってくれるようになりました。

専門スタッフにすべて安心して任せることのできる時代になりましたが、しかしプロはあくまでプロの仕事として行ってくれるだけなので、家族が少しでも手伝って心ある「おくる準備」となるよう心がけてもよいのではないでしょうか。